保健室より

2022年度6月

「 熱中症」のはなし
いよいよ熱中症シーズン。暑さに慣れる間もなく、急に暑くなったり、湿度が高くなったりしています。今月は熱中症についてお届けします。

【 熱中症の原因 】
体温が上昇して体温調節機能のバランスが崩れ、体内に熱が溜まってしまうことです。体温が上昇した場合、人の体は適度な体温を維持するために、汗をかいたり皮膚温度を上昇させたりして熱を体外へと放出します。この機能が損なわれることで熱中症が生じます。

【 実はプールも要注意!】
水中にいると自覚はなくとも、実はたくさんの汗をかいています。水中では暑さを感じにくいのですが、発汗により水分はどんどん失われ、いつの間にか脱水を起こしているのです。外気温に加え、水温も高くなると、体内の熱は逃げにくくなり、熱中症リスクが高くなります。

【 暑さ指数(WBGT) 】
環境省が発表している「暑さ指数」が31℃以上、または、気温が35℃以上の場合は、水遊び・プールも含め、外遊びはしません。

【 水分 塩分 糖分 がポイント 】
水分、塩分はご存じの人が多いと思いますが、実は「糖分」もポイントです。理由は、腸管での水分吸収を促進するためです。主要な糖「ブドウ糖」は、腸管内でナトリウムが同時にあると速やかに吸収されます。そしてそれらに引っ張られ水分も吸収されるというのがそのメカニズムです。スポーツドリンクは糖分が多過ぎるため、腸からの吸収率が低下します。当園では、OS1を常備し、散歩時には携帯しています。

【 朝食は必ず摂ってください 】
こどもは大人よりも多くの水分を必要とします。朝食を抜いただけで、低血糖、脱水となり、生命を脅かす熱中症になりやすくなります。朝食抜きでの保育園生活は命取りです。

2022年度5月

 東京を含む関東エリアは、日本の中でも様々な花粉が大量に飛ぶエリアです。東京23区は多摩地域から大量のスギ花粉が飛来します。ヒノキ、ハンノキ、イネ、加えて黄砂も、5月はまだ多いです。関東エリアは草の花粉も他のエリアより多く、しかも長い期間飛散します。花粉の季節に咳で悩む人は多いです。「出だすとなかなか止まらない」「咳が苦しくて夜寝られない」「乾いた咳」「夜に悪化」ということが多いです。風邪薬や咳止めを飲んでも、一向によくならない咳は風邪ではなく「喘息などのアレルギーの咳」の可能性があります。

 スギ花粉の時期に喘息症状の人が増えるのは、スギ花粉の表面に「オービクル」という約0.5~1μmの微粒子がありそれがはがれて気管支に入るからです。オービクルはスギ花粉と同様にアレルギー反応を起こすため、気管支でアレルギー反応が起きます。山間部では多量の花粉が飛びますが、花粉は結構重いので山や畑の水分を含んだ土に着地すると再び飛び立つことは少ないです。しかし都市部では、乾いたアスファルトに花粉がたまることが多いため容易に何度も何度も飛び上がります。そうこうしている間に、人や車に繰り返し踏みつけられ、花粉が粉砕されオービクルなどが作られてしまいます。

 また、黄砂、PM2.5なども花粉表面を傷つけ破裂させます。さらに危険なのは、花粉のアレルゲン物質が微細化し、PM2.5中の硫酸塩などと一緒に空気中に浮遊するので、有害化学物質やアレルゲン物質も、1μm以下のPM1.0として放出されてしまうことです。このメカニズムが「昔より花粉症で悩む人が増えていること」「都市部で花粉症に悩む人が多いこと」「都市部でスギ花粉の季節に喘息が増えること」の大きな理由です。ひどくなる前に受診し、肺炎、喘息発作などを予防しましょう。

2022年度4月

 4月は疲れが出やすいです。こどもたちも家庭とは異なる環境下で、緊張の連続です。在園児も部屋や保育士が変わり、緊張しています。できるだけ規則正しい生活リズムで、新しい生活に慣れていきましょう。

【 登園前にご確認ください 】
 機嫌、顔色、睡眠は十分か、平熱か、眼症状(めやに、充血、かゆみ)、咳や鼻水、下痢や嘔吐 吐き気 腹痛、頭痛、発疹、とびひ、痛い部位、頭 他のどこかを打撲、ケガ やけど、割れ爪、歯が抜けそう 等々 … どんな些細なことでも「いつもと違う」ことは、必ず登園時にお知らせください。また、病気やケガは必ず受診し、医師に「登園して他の子にうつさないか」「登園して症状が悪化、急変の危険性はないか」「ケガは保育可能な状態か」などを診断してもらってください。

【 感染症にかかりやすくなる 】
 保育園に行き始めると、熱や風邪、胃腸炎など、感染症にかかりやすくなり、欠席や早退が増えます。保育園は、低年齢で免疫機能の未熟なこどもたちが濃厚に接触しながら、長時間一緒に生活しています。感染した子との接触を断つことはできません。こうして、いろんな感染症にかかりながら、免疫機能が向上していきます。個人差はあるものの、入園後1年程経つと、休む日数が減り始めます。

【 発熱 】
 人には、感染症から身を守る働きが備わっています。日常よくみられる発熱は、生体の防御反応です。体温を上げることにより、バイキンの働きを弱め、繁殖を抑える効果があり、病原体との闘いを有利にします。解熱剤は「使うべきとき」に使うものです。例えば「体温が40℃でも全身状態が悪くなくて、水分摂取もできるなら使用しない」「38℃でも熱が苦しくて眠れない、水分が摂れないなどがあれば使用する」といった具合です。「どのようなときは使った方が良いのか」医師に確認しておきましょう。また「解熱した」と判断できるのは、24時間以上平熱が続いた状態です。食欲がなかったり、元気がなかったりするのは、病気が良くなっていないことを示しています。厚労省より発行されている「保育所における感染症対策ガイドライン」には「24時間以内に38℃以上の熱が出た場合や、または解熱剤を使用している場合は、登園を控えるのが望ましい」と書かれています。

【 手洗い30秒以上 】
大人もこどもも、登園したらまず、門を入ってすぐの手洗い場で、30秒以上手を洗ってください。こどもが泣く、荷物が多い、お湯が出ない、ただでさえ急いでいるのに混んでいてなかなか洗えない、等々ご不便をおかけし申し訳ありません。アルコール消毒だけで済ませるには、大量に噴霧する必要があり、補充が追い付きません。持病があり感染症に弱い子もいます。今一度、感染拡大防止にご協力くださいますよう、よろしくお願いします。
【 園での取り組み 】
毎日、玩具・物品・園舎の消毒を続けます。職員は必ず不織布マスクを着用し、食事などで外したときは会話をしません。


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