保健室より

2025年度5月

 嘔吐・下痢・腹痛などの感染性胃腸炎が続いています。保育園のような密接した集団生活の場、登園せざるを得ない状況など、感染拡大防止は非常に困難な環境です。何か症状があれば受診し「登園しても他の子にうつさないか」を診断してもらってください。

【 危険!脱水! 】
 胃腸炎で注意しなければならないのが脱水です。こどもは成人の3倍の速さで脱水が進みます。こどもにとって、8時間 水分摂取していない状態は、24時間摂取していないのと同等です。唇の乾燥、落ちくぼんだ目、尿や涙の量の低下、皮膚の乾燥や張りの低下(皮膚をつまみ上げて2秒以内に戻らない)、爪を5秒圧迫して爪の赤みが回復するまでに2秒以上かかる、などは脱水の目安になります。

【 経口補水液 】
 市販の経口補水液はとても便利です。電解質バランスが適切で、腸からの吸収率も良くつくられています。ただ、塩味が強く糖分が少な目で飲みにくいです。スポーツドリンクでは糖分が多過ぎるため、吸収率が著しく低下します。軽症であれば、果汁100%りんごジュースと混合しても有効性は変わらないという報告があります。経口補水液単体で飲みにくい場合は、りんごジュースと半々にして飲ませてみてください。なお、吐いているときは、少量ずつ間隔を開けて飲ませてください。嘔吐が持続していても70%程度は吸収されているので、少しずつあげましょう。ノドが乾いているので一気に飲みたがりますが、すると、また一気に吐いて苦痛です。

【 こどもの低血糖は症状が出にくい】
 
こどもは嘔吐や下痢で低血糖にもなりやすいです。こどもは低血糖に強く、少々の値であれば歩けるし、喋れます。そもそも、こどもの血糖値の正常値はあまりよくわかっていません。血糖値の低さと症状が一致しないことも多く、正常値が決めにくいのです。元気がない、顔色が白っぽい、筋緊張が低下しているなどがあれば、低血糖かもしれません。

【 便や吐物を写真に撮って 】
 受診時に、便や吐物の写真はとても役立ちます。いつ頃から続いているのか、何回下痢(嘔吐)しているのかなどの情報と合わせて医師へ伝えましょう。

2025年度4月

 進級入園おめでとうございます。

 今月は、新生活を迎えるにあたってのプチ情報をお伝えします。こどもたちも新しい環境下で、緊張の連続です。4月は疲れが出やすいです。できるだけ規則正しい生活リズムで、新生活に慣れていきましょう。

登園前にご確認ください
 機嫌、顔色、睡眠は十分か、平熱か、眼症状(めやに、充血、かゆみ)、咳や鼻水、下痢や嘔吐 吐き気 腹痛、頭痛、発疹、とびひ、痛い部位、頭 他のどこかを打撲、ケガ やけど、割れ爪、歯が抜けそう 等々 … どんな些細なことでも「いつもと違う」ことは、登園時に口頭でもお知らせください。また、病気やケガは必ず受診し、医師に「登園して他の子にうつさないか」「登園して症状が悪化、急変の危険性はないか」「ケガは保育可能な状態か」などを診断してもらってください。

発熱について
 ヒトには、感染症から身を守る働きが備わっています。日常よくみられる発熱は、生体の防御反応です。体温を上げることにより、バイキンの働きを弱め、繁殖を抑える効果があり、病原体との闘いを有利にします。解熱剤は「使うべきとき」に使うものです。例えば「体温が40℃でも全身状態が悪くなくて、水分摂取もできるなら使用しない」「38℃でも熱が苦しくて眠れない、水分が摂れないなどがあれば使用する」といった具合です。「どのようなときは使った方が良いのか」医師に確認しておきましょう。また「解熱した」と判断できるのは、24時間以上平熱が続いた状態です。「食欲がない」「元気がない」のは、病気が回復していないことを示しています。厚労省より発行されている「保育所における感染症対策ガイドライン」には「24時間以内に38℃以上の熱が出た場合や、または解熱剤を使用している場合は、登園を控えるのが望ましい」と書かれています。

集団生活スタート
感染症にかかりやすくなるかも
 保育園に行き始めると、熱や風邪、胃腸炎など、感染症にかかりやすくなり、欠席や早退が増えます。保育園は、低年齢で免疫機能の未熟なこどもたちが濃厚に接触しながら、長時間一緒に生活しているところです。感染した子との接触を断つことはできません。こうして、いろんな感染症にかかりながら、免疫機能が向上していきます。個人差はあるものの、入園後1年程経つと、休む日数が減り始めます。

2024年度3月

どうして痛くなるの?

 実際、骨の成長に伴って痛みが発生することは医学的にはなく、痛みの原因は今の所はっきりしていません。 また、「成長痛」という障害名はなく、主に、成長期の子どもに多く見られる足の痛みという意味から、「成長痛」という呼称で言われているようです。

診断方法は?
通常、痛みの部位に腫れや痛み、圧痛などは無く、関節の運動制限などの異常は認めません。採血検査もレントゲン検査も、成長痛では異常な所見はありません。

治療方法は?
特別な治療法は無いと言われています。しかし、骨の成長スピードに伴って筋肉も柔軟に対応できれば痛みを抑制することは可能だと言われています。

痛みの主な特徴は?

  1. 3歳から小学校低学年までの小児によくみられる。
  2. 夕方から夜間にかけて、膝の裏やふくらはぎ、足首などに多い。
  3. 痛みは不定期に繰り返しおき、泣くほどの痛みだったにも関わらず、次の日には、ケロッとして良くなっていることがある。

そんな時はどうすればいいの?
 
夜、しっかり足を休ませて、お風呂に入ったり、足を優しくさすってあげたり、マッサージやストレッチをしてお子さんとスキンシップを取りましょう。しかし、同じところをいつも痛がったり、痛がる回数が多かったり、日中も痛がったりするようであれば、整形外科を一度受診してみてください。成長痛ではなく、他の病気があるかもしれません。特に検査などで異常がなければ、しばらく見守ることも大切です。

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